世界天文年2009マスコットキャラクター「ガリレオくんと仲間たち」が、みなさんを星空と天文学の世界へご案内します!

第17回 「日本では全国で日食が見られるのじゃ」の巻

2009年7月1日号

第17回

【注意】市販の天体望遠鏡には、太陽に向けてもよいものと、太陽に向けてはいけないもの(投影して見るのもダメなもの)がありますので事前によく確認しましょう。「君もガリレオ」望遠鏡は絶対に太陽に向けてはいけません。

観測ガイド ―日食

 ずいぶん日差しがまぶしい季節になったのぉ。太陽が照りつける空を見上げるだけでずいぶんまぶしいものだから、太陽を直接肉眼で見つめるなんてもってのほかじゃ!太陽の光は強烈だから目が焼き付いてしまうぞ!たとえ日食で欠けた太陽を観察するときでも油断してはならぬぞ。太陽を観察するときは、専用の日食グラスが必需品なんじゃ。もちろん、日食グラスを使ったとしても、それを付けて望遠鏡や双眼鏡を使って太陽を見るなんてもってのほかじゃ!ぜったいやってはならぬぞ!
  7月22日は、全国で日食が見られる。だから、たくさんの人に見てほしいものじゃが、けっして目にヤケドを負ったりしないように安全に観察をして楽しんでほしいものじゃ。


天文解説 ―7月22日は日食

皆既日食 皆既日食。2006年3月29日、トルコ・シデにて  (撮影:福島英雄、片山真人、渡辺康充、提供:国立天文台2009年7月22日に日食が起こる地域 2009年7月22日に日食が起こる地域
(提供:国立天文台

 7月22日、日本を含むアジア・太平洋地域で日食が起こります。日本では全国各地で部分日食が見られ、さらに、奄美大島北部、トカラ列島、屋久島、北硫黄島、硫黄島やそれらの周辺海域などでは皆既日食を見ることができます。日本の陸地で皆既日食が見られるのは、北海道での1963年7月21日の皆既日食以来じつに46年ぶり、次回、日本の陸地で皆既日食が見られるのは、26年後の2035年9月2日となります。
  今回は、全国で部分日食が観察できることから、太陽が月に隠されていくようすは、多くの人々に注目されることでしょう。
  日食は、空に見える太陽の手前を月が横切るために、太陽の一部(または全部)が隠される現象です。つまり、太陽と月が私たちから見てほぼ同じ方向に重なって見えるときに日食が起こることになります。
  ただし、空での太陽の通り道(黄道)に対して月の通り道(白道)は傾いているため、新月のたびに日食が起こるわけではありません。また、地球−月の距離は一定ではなく、月の見かけの大きさは変化します。そのため、月の見かけの大きさが太陽よりも小さいときには、太陽全体が月に隠される皆既日食にならず、太陽の外縁が細く残される金環日食となります。逆に月の見かけの大きさが大きなときには、太陽が月に隠れている時間(皆既の時間)が長くなるのです。今回の日食はこのような条件にあたり、最も皆既時間が長い場所では、6分以上にわたって黒い太陽が見られます。
  日食という現象が多くの天文ファンを惹きつける理由は、単にその現象の珍しさだけではありません。皆既となるわずか数分間、ふだんは太陽本体の強烈な明るさのために見ることができない、コロナという高温プラズマ状態の外層大気の輝きが見られます。皆既中の黒い太陽をとりまくそのコロナの神秘的な輝きは、多くの人々の心を魅了してやみません。

 


日食を安全に楽しむために

 今回、皆既日食が見られるのは、皆既日食帯と呼ばれる帯のように細長く延びた一部の地域に限られ、日本の陸地では島嶼(しょ)部に限られますが、部分日食は日本全国で見ることができ、食の深さ(太陽の欠け方)は皆既日食帯に近いほど大きくなります。
  時間を追うごとに太陽が欠けていくようすを目にするのは、たいへんわくわくするものです。しかし、この部分日食を楽しむ際に注意していただきたいのは、太陽を肉眼で直接見たり下敷きやサングラス等の不十分な減光方法で観察せずに、専用の太陽観察器具(日食グラス、日食めがね、等の商品名で扱われています)を使用し、なおかつ長時間の観察を避け適度に目を休めながら行うことです。正しくない日食観察から起こる赤外線による目の障害(「日食網膜症」と呼ばれます)は、日食のたびに世界中で見られる症例です。
  欠けた太陽の姿を、ピンホールを使って投影して観察する方法もあります。バスカードやテレホンカードといった穴の開いたカード類や、小さな穴を開けた厚紙を地面や壁にかざすと、欠けた太陽と同じ像が投影されます。
  これと同じ原理で、地面に映る木漏れ日が欠けた太陽と同じ形に見えるというたいへんおもしろい現象を観察することができます。
  こういった様々な観察方法、そして安全に日食観察を行うために気をつけるべきことは、「世界天文年2009 日食観察ガイド」でご紹介しています。7月22日に起こるこの壮大な自然現象を迎える前に、ぜひ一度目を通しましょう。

 参考: 
   世界天文年2009 日食観察ガイド

 

ガリレオガイド ―太陽の姿は不変ではない

ガリレオによる太陽黒点のスケッチ ガリレオによる太陽黒点のスケッチ
(画像提供:Istituto e Museo di Storia della Scienza, FlorenceIYA2009

 ガリレオが望遠鏡を使ってなしとげた観測と発見のひとつに、太陽黒点の発見とそれが太陽表面の現象であることをつきとめたことがあります。
 当時、ガリレオとは独立に、太陽の表面にある“黒い何か”を発見していたシャイナーという研究者は、これを「太陽本体からほど遠くないところにあって、水星や金星とおなじく、太陽のまわりを回転している星」と説明していました。つまり、この“黒い何か”は、太陽の表面に存在するものではなく手前を横切っていく天体を見ているのだという説明です。太陽のように完全で不変な天体に、“黒点”という日々生成しては消滅していくような不純な現象などあってはならない、というアリストテレス的世界像を擁護する解釈だったのです。
 ガリレオはこの考えを批判し、1612年6月から7月にかけて観測し記録した黒点のスケッチを論拠としながら、太陽黒点に関する3通の書簡の中で次のように反論を述べています。

  • 黒点は太陽の表面で生成・消滅する現象であること
  • 太陽の自転とともに動いていくこと
  • 黒点の持続期間は様々だが、太陽の自転周期以上の長い間存続するものもあること

 ガリレオの偉大さは、単に新しい現象を発見したことだけでなく、正確な観察記録を残しその現象の論拠をはっきり示したこと、そして、それに対する批判があっても自説の正しさを根気よく論証することを厭わなかったところにあるのでしょう。

 参考: 
  太陽黒点にかんする第二書簡
    ガリレオ・ガリレイ著「星界の報告 他一篇」岩波文庫 より



制作/世界天文年2009「ガリレオくんと仲間たち」制作ユニット+藤井龍二(まんが)


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