世界天文年2009マスコットキャラクター「ガリレオくんと仲間たち」が、みなさんを星空と天文学の世界へご案内します!

第15回 「天の川銀河の薄いかみのけを通して銀河宇宙を見通すのじゃ」の巻

2009年6月1日号

第15回

観測ガイド ―「かみのけ座銀河団」と「おとめ座銀河団」

かみのけ座銀河団 図1 かみのけ座銀河団。たくさんの銀河が群れ集まっている。(画像:NASA/JPL-Caltech/GSFC/SDSS) おとめ座銀河団の銀河 図2 おとめ座銀河団のメンバーをひとつずつ並べた組写真。エドウィン・ハッブルに因んで名づけられた「ハッブル宇宙望遠鏡」による撮影。(画像:NASA, ESA, and E. Peng (Peking University, Beijing))

 この時期、宵の星空を見上げると、ほぼ頭の真上にオレンジ色に輝く1等星が目立つのう。うしかい座のアークトゥルスじゃ。この星から、ちょっと西側にある星座が「かみのけ座」じゃ。暗い星ばかりなので、なかなか見つけにくいのう。また、アークトゥルスから、南へ目線を下ろしていくと、少し暗い1等星が見つかる。おとめ座のスピカじゃ。スピカはラテン語で「麦の穂」の意味。おとめ座は、豊穣の女神デーメーテールがモデルとの説もあるので、ふさわしい名じゃな。
 さて、今回は、その「かみのけ座」「おとめ座」の方向に、遠い銀河がたくさん見えるというお話じゃ。我々の住む天の川銀河は、数千億の星々と大量のガスとチリの集まりだが、宇宙には、同じような銀河がたくさんある。たまたま、かみのけ座やおとめ座は、天の川銀河内の天体にじゃまされることが少なく、遠くがよく見通せる方向なのじゃ。また、銀河がたくさん集まっている「かみのけ座銀河団」や「おとめ座銀河団」もあって、銀河の世界を研究するのには、とても好都合なエリアというわけじゃ。
 ふつう、星空は丸天井に星々がはりついているように見えて距離感をつかみにくいが、じつは、近い星、遠い星、すごく遠い星の集まりの天の川、お隣の銀河、そして遠くの銀河の大集団と、じつにさまざまな距離の天体が見えておる。これまでの連載で紹介した天体たちを、距離別に並べ替えてみるのも面白いじゃろう。…しかし、わしが望遠鏡で星空を観測したときは、これほど宇宙が広くて、さまざまな天体があるとは、思いもよらんかったがのう…。


天文解説 ―膨張する宇宙の発見と銀河の集まり「銀河団」

 円盤のような形に天体が集まった「天の川銀河」の中に住んでいる私たちにとって、天の川銀河の外の世界を見るのは、じつは簡単なことではありません。私たちの太陽系は、天の川銀河の中心からかなり離れてはいますが、それでも、円盤の丸い縁に沿う方向は、たくさんの天体が折り重なって遠くを見通すことができません(第2回参照)。円盤の極方向へいくにしたがって天体の分布がまばらになり、地球から見て、おとめ座やかみのけ座、しし座の方向が、見かけ上もっとも天体の分布が薄く、外の世界を見通しやすくなるのです。
  宇宙には、天の川銀河と同じようなたくさんの銀河が観測されていて、その数は数千億と推定されています。天の川銀河の外に銀河を発見したのは、アメリカのエドウィン・ハッブルで、1929年のことでした(第9回参照)。ハッブルは、当時世界最大のアメリカ・ウィルソン山天文台の口径100インチ大型望遠鏡などで、たくさんの銀河を観測し、その解析結果から宇宙が膨張していることを見出します。この宇宙膨張の発見は、現代宇宙論の基礎となっています。
  遠方銀河の観測が進むにつれて、銀河の分布にも疎密があることが分ってきました。多くの銀河の集まりを「銀河団」といい、「かみのけ座銀河団」や「おとめ座銀河団」は、もっとも近くにある銀河団です。さらに大きなスケールを観測すると、ちょうど、しゃぼんの泡どうしがくっついた面に銀河がたくさん集まり、泡の内部にはほとんど銀河のないからっぽな空間が広がるような分布をしていることがわかりました。これを宇宙の大規模構造といい、観測可能な宇宙の中で、もっとも大きな構造と考えられています。
  膨張する宇宙では、遠くにある天体からやってきた光は過去に発せられたのものなので、遠くを見るほど、過去を見ることになります。すなわち、遠方銀河の観測は、宇宙の過去を知り、宇宙の歴史とその成り立ちを知る上で、たいへん重要な役割を果たしているのです。


制作/世界天文年2009「ガリレオくんと仲間たち」制作ユニット+藤井龍二(まんが)

 

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