世界天文年2009マスコットキャラクター「ガリレオくんと仲間たち」が、みなさんを星空と天文学の世界へご案内します!

第14回 「ガリレオもワシもびっくり! 環のない土星を記念観測じゃ」の巻

2009年4月1日号

第14回

観測ガイド ―土星を観察しよう

土星の環の見かけの傾きの変化 図1 土星の環の見かけの傾きの変化。土星の環は、公転軌道面から26.7度傾いています。土星は、その傾きを同じ方向に保ったまま、太陽のまわりを約30年かけて一周します。そのため、地球から見たときの環の傾きは、約15年周期で大きくなったり小さくなったりします。くわしく見ると、環が真横→傾きが北に最大→真横→傾きが南に最大→真横のサイクルを約30年で繰り返すため、環の傾きの大きさの変化は、その半分の約15年周期となります。(図:国立天文台天文情報センター環の傾きの変化の写真 図2 環の傾きの変化の写真。だんだんと環の傾きが小さくなって、今年の春は線のように見えています。お花見の串団子のようですね。(画像:平野岳史)

 いよいよ、春本番じゃな。だんだん暖かくなってきて、夜、戸外に出るのもラクになってくるのう。これからバリバリ星空の観察に励もうぞ。
 夜の9時ごろ、南の空高くに目をやると、土星が明るく輝いておる。土星は環をもったとてもユニークな惑星で、21世紀の星空観望会などではとても人気があると聞く。初めて望遠鏡で環の姿を見ると、みんな「わー!」と叫んで、生涯忘れんということじゃ。じゃがの〜、17世紀のわしが自作した望遠鏡では、性能が及ばず土星本体と環を鮮明に見分けることができなかったのじゃ。「では、どんな風に見えたのかじゃと?」。「土星には、耳がある」と思うたよ(図3)。
 さて、世界天文年の今年は、この春が土星を観察するチャンスなわけじゃが、実際に望遠鏡でのぞいてみると「環ー、が細ーい!!(あるいは、見えなーい!!)」と叫ぶことになる。環はは。その理由は、まんがと解説を読んでほしい。
 これから、環の傾きはますます小さくなって、地球から見て環が真横になる2009年9月4日前後は、まったく環が見えなくなる。また、太陽から見て環が真横になる2009年8月11日も太陽の光が環に当たらないので、見えぬ道理じゃ。ただ、この時期は土星が太陽に近く、実際の観測は困難じゃ。よって、春のうちに、線のように細くなった環をぜひ見ておこう。なにしろ、15年に一度しか見られないレアものじゃ。ぜひ、世界天文年の記念観察としてほしいぞ。

 参考: 
   国立天文台ほしぞら情報 (2009年3月のトピックス)
   土星を見よう

 
 
 
 
 
 
 

ガリレオガイド ―“耳のついた土星”を発見したガリレオ

土星の“耳”のようすを描いたガリレオのスケッチ 図3 土星の“耳”のようすを描いたガリレオのスケッチ。(画像:Istituto e Museo di Storia della Scienza, FlorenceIYA2009

 1609年に望遠鏡を使って天体観測を始めたガリレオは、1610年に土星の観測に取り組みました。そこで、ガリレオは、「土星は3個の星が並んだ星だ。真中の星がとても大きい。3つの星はほとんど接触するくらい近い」ことを発見し、両脇の星を「まるで耳のようだ」と形容しています。同じ時期に木星の衛星を発見していたガリレオは、土星にも“寄り従う星=衛星”があると考えたのです。ただ、木星の衛星のように動きがないことや、あまりにも土星本体に近すぎることなど、疑問が残ったことでしょう。1612年から1613年にかけて、再び土星を観測したガリレオは、さらに困惑しました。「耳のような両脇の星」が消えてしまったのです。
 ガリレオは、結局、その“耳のような星”の正体が「環」であることを突き止められませんでした。ガリレオの眼に両脇の星と見えていたものは、やや傾いた環の姿。そして、その後、両脇の星が消えてしまった現象は、まさに今年と同じ、15年に1度の“環の消失”を目撃していたことになります。  “耳”が“環”であることを発見したのは、オランダのホイヘンスで、ガリレオの最初の観測から45年後の1655年のことでした。

 

天文解説 ―環の正体は多重リングだった

タイタンの表面のようす 図6 タイタンの表面のようす(左画像)。右画像はスケールの比較用に並べたアポロ月面着陸時の画像(画像:ESA/NASA/JPL/University of Arizona

土星の環のようす 図4 土星の環のようす(画像:国立天文台石垣島天文台土星の環の多重構造のようす 図5 土星の環の多重構造のようす(画像:ESA/NASA/JPL/University of Arizona

 土星は、太陽系の内側から6番目、木星の外側の軌道をめぐる惑星です。大きさは太陽系の8つの惑星の中で木星に次ぐ巨大ガス惑星で、大気成分のほとんどは水素です。そのため、平均密度が0.69 g/cm3 と水(平均密度1 g/cm3 )よりも軽く、土星が入るほどの大きな水槽があれば、土星は沈まずにプカプカ浮かぶことでしょう。
 なにより巨大な環が目を引きますが、その成因ははっきりとはわかっていません。くわしく観測すると、環は1つではなく、それぞれ隙間に隔てられた7つの環からなっていることがわかりました。小型望遠鏡ではっきり見ることができる環は、A環とB環です(図4)。A環とB環の間にある隙間は「カッシニの空隙(くうげき)」と呼ばれています(カッシニは、1675年にこの隙間を発見した天文学者の名前です)。環は、数センチメートルから数メートルスケールの水が凍った氷の粒が集まったものだと考えられています。いちばん幅が広いB環では、環の幅は約2万5000キロメートルありますが、環の厚みは最大でも1キロメートル程度です。そのため、今年の環の消失のような現象が起こるのです。
 土星探査機カッシニの観測によれば、環はさらに細い環が無数に集まってできていることが分りました(図5)。また、生命存在の可能性も指摘されている土星最大の衛星タイタンの表面の観測にも成功しています(図6)。

太陽からの平均距離 14億2940万km
公転周期 29.46年
自転周期 10.66時間
赤道半径 60268km(地球は6378q)
質量 地球の95.16倍
平均密度 0.69 g/cm3(地球は5.52 g/cm3
 

 参考: 
   カッシニ探査機ポータル

 

制作/世界天文年2009「ガリレオくんと仲間たち」制作ユニット+藤井龍二(まんが)

 

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