世界天文年2009マスコットキャラクター「ガリレオくんと仲間たち」が、みなさんを星空と天文学の世界へご案内します!

第2回 「天の川ピザは、銀河の味!?」の巻

2008年7月16日号

第2回

観測ガイド ―天の川の正体

天の川
天の川の流れ。銀河中心方向の「いて座」付近(画面中央)が、明るく広がっているようすがわかる(画像/津村光則)

 よく晴れた月明りのない夜に、街の明かりから離れた場所で暗い夜空を見上げると、白々と淡く光る雲のようなものが、帯状に天を横切っていることに気づくかな? それが、天の川じゃ。この天空を流れる「川」が、無数のかすかな星々の集まりであることを見つけたのが、ガリレオ・ガリレイなのじゃ。
 これから、梅雨が明けて晴天が続く夏本番。7月18日に満月となった月は、だんだん欠けて、月の出の時刻も遅くなる。日が暮れて暗くなったら、南の空のいて座付近に注目してみよう。ぼーっと輝く天の川を確認できるだろう。さらに、暗闇に目が慣れてくると、天の川は、明るさも川幅も一定ではないようすが見えてくる。いて座付近の天の川は明るく幅も広い。そこから北へ天球を跨ぐように伸びる天の川に沿って見てゆくと、わし座からはくちょう座にかけて、川の中に暗い部分のあることもわかる。まるで中州のようだ。さらに北にたどるにしたがって、天の川全体が淡くなっていくのも確認できるだろう。街明りなどで、南の低い空の条件がよくない場合は、夜遅く、天頂付近にはくちょう座付近の天の川が高くかかるころに、観察するとよいじゃろう。

 

ガリレオガイド ―驚きに我を忘れ…

 望遠鏡を使った観測によって、天の川の正体が、無数のかすかな星々の集まりであることを発見したのがガリレオです。目で見ただけでは、どれほど条件のよい夜空でも、天の川は、淡く白い雲のようにしか見えません。ガリレオの発見以前の長い間、天の川は「気象現象」であるとか、星の光が地上の火や煙の影響によって雲のように見える「目の錯覚」だと考えられていました。そのため、ガリレオも、この発見にはびっくりして「私は驚きに我を忘れ、……かくも偉大な驚異を私に見出させ給うた神に限りなく感謝する」と記しています。
 この発見により、肉眼で見える数よりも、はるかにたくさんの星々が宇宙にあることがわかりました。しかも、星々は望遠鏡で見ても光の点としか見えません。これは、星々がたいへん遠くにあるからだと考えられます。

 当時のヨーロッパ社会では、天動説が広く支持され、遠い星々は恒星天という球面にちりばめられて回転していると考えられていました。これは、紀元前4世紀の哲学者アリストテレスがまとめた「アリストテレス的宇宙観」に基づくものです。アリストテレス的宇宙観では、月より遠い宇宙=天井界は、整然と秩序だった完全な世界であるとされ、星ではない「天の川」が月より遠くにあるとは考えられなかったのです。ところが、ガリレオの観測に基づく発見は、その考えを覆しました。このこと自体は、天動説を直接否定するものではありませんが、アリストテレス的宇宙観に一石を投じることになりました。
 ガリレオは述べています。「この眼で確かめることによって、数世紀のあいだ哲学者たちを悩ませてきたすべての論争に、終止符をうった。わたしたちは、果てしのない議論から解放された。銀河(※) は、実際は、重なりあって分布した無数の星の集合にほかならない」(岩波文庫『星界の報告』より)。

 ガリレオは、それまで長く信じられていた宇宙の構造を考え直す重要なヒントを発見しました。さらに、西洋中世の観念的な自然の見方を超えて、科学的観測という新しい自然理解の方法を開拓したのです。

「天の川」のことです

 

天文解説 ―天の川銀河のすがた

銀河系
渦巻き構造を持つ天の川銀河系と太陽系の位置(画像データ提供:国立天文台4D2Uプロジェクト)

 ガリレオが「天の川」は星々の集まりであることを発見して以来、さまざまな観測が行われ、私たちの住む地球が属する太陽系は、たくさんの星々が集まった「天の川銀河」という星の集団の一員であると考えられるようになりました。やがて20世紀に入ると、宇宙には天の川銀河の外にアンドロメダ銀河など、いろいろな形をした銀河が無数にあることもわかりました。

 では、天の川銀河はどのような形をしているのでしょうか? じつは、これはとても難しい質問です。私たちの住む地球は、天の川銀河の中にあります。私たちは、その中からしか天の川銀河を見ることができません。これは、家の中から外に出られない人に、その家の形を聞くようなものです。家の中から見ると、壁や天井に阻まれて家全体の形はわかりません。地球から天の川の方向を見ても、ガスや塵に遮られて、せいぜい数千光年の距離までしか見通せません。天の川の中には、暗い中州のような部分が目立ちますが、これは近くにあるガスや塵(暗黒星雲)が後ろにある星々の光を遮っているからです。

 だから、最近まで私たちの天の川銀河が、本当はどんな形をしているのかわかりませんでした。20世紀の後半になって、ガスや塵に遮られることのない電波や赤外線を使った観測の結果、天の川銀河は、アンドロメダ銀河のような渦巻き構造を持つ円盤型をした銀河だということがわかってきました。その直径は約10万光年、厚さは約2000光年と薄く、中心部分が多少厚くなった凸レンズ型をしています。私たちの太陽系は、円盤の中にあって、中心から約2万数千光年くらいのところに位置します。中心の周りを約2億数千万年かけて回っていることもわかってきました。
 この構造を地球上から見ると、円盤部に密集した星々やガスや塵が、私たちのまわりを一周して見えることになります。これが、天の川の正体です。円盤からそれた方向は、天の川と比べて、星が少ないこともわかります。また、太陽系が、天の川銀河の中心から、かなり離れているため、天の川の明るさや幅が異なる理由も説明できます。天の川がいちばん明るく幅広く見えるのは、夏の夜空に見えるいて座のあたりです。これは、見かけ上、星がもっとも厚く重なり合って見える天の川銀河の中心方向が、ちょうどこのいて座の方向にあるからです。反対に、冬の星空に流れる天の川は、中心とは反対方向を見ていることになるため、比較的星の数が少なく見えます。そのため天の川もそれほど明るくありません。


制作/世界天文年2009「ガリレオくんと仲間たち」制作ユニット+藤井龍二(まんが)

 

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